休憩中、「手を抜いているのか!」とペットボトルで子供の頭をパカーンとやる親。
円陣で何かの理由で子供が泣き出すと、コーチがまだ会話しているのに駆け寄ってなだめる親。
練習中に子供が少しでもいたずらをようものなら、烈火のごとく怒る親。
子供の意見よりも親の勝手な判断でチームを離れていく一家。
小学校の次男のサッカー少年団で千葉県の母親は過干渉、過保護な親仲間に違和感を禁じ得ない。
『会場の申し込みや送迎で十分サポートはしている。指導者を尊重する意味でも、子供に伸び伸びとスポーツをさせる意味でも、あとは口出ししないでコーチに任せればいいと思う』
神奈川県で少年野球のコーチをする40代の男性は、チームや指導者、選手起用、練習内容への批判を繰り返す親に毎年のように直面する。
『でも、そういう親の子供はあまり成長しない』と言う。
親が家で常に批判を口にしていると、子供が指導者を信頼しなくなり、話をまともに聞かなくなるからだ。
悪影響はチームにも及ぶ。
『チーム批判に同調する人が出て保護者の間に派閥ができる。結果、子供同士の関係も悪化しチームにまとまりが欠けて成績不振にという例が実はよくある』
地元で活動する少年団は指導者の子供が選手と同じ学校に通うことも多く、指導者と保護者という関係が薄れて遠慮が無くなり友達のように言いたい放題の環境になりがちという。
『入団した以上は指導者の考えを受け入れないとチームとして成立しないことを自覚すべきだ。どうしても受け入れられなければ辞めるしかない。但し、絶対服従は正しくない。疑問を聞く窓口は必要で、私のチームでは自分が窓口になり、監督に伝えている』
長男が小中学校を通じて野球チームに入っていた東京都内の50代の男性は『監督やコーチの悪口は言わないというのが不文律だったが、特に親父が集まると悪口大会になった』と振り返る。
ただ、指導者が親との関係をシャットアウトしたり、親が腫れものに触るような雰囲気になったりすると、没コミュニケーションになり、子供に対して高圧的に接する指導者にも何も言えなくなるなど、良いことは無いと感じたという。
『スポーツを通じて子供を育てるという目的は同じ。指導者と保護者がそれぞれの立場から“一緒に育てる”という考え方にならなければいけないと思う』
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